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フル墨攻

「少しまとまった思いつき」を書きます

中国の軍需産業はアフリカの夢を見るのか

とくにまとまってない。メモしてたURLに感想を追加したエントリ。

経済成長と軍需産業

●[突出した伸び率で軍事大国化を計る中国は実は無理をしていない~日本のメディアの分析は甘い - 木走日記]
http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20140307/1394156562

これとこちら

(以下引用の赤字強調は筆者)

恐らくこの先に起こることは、中銀バランスシートの増加による物凄い金融緩和や財政出動の積み増しであり、いずれ人民元安とインフレの昂進に帰結するだろう。そして、成長率の緩やかな落ち込み過程で次第に大きくなっていく不良債権の山を政府が民間から肩代わりするというプロセスが進むのではないか。それがずっと続けば、ソフトランディングのプロセスだとは言えよう。

●コラム:中国経済が向かう「長期衰退」の道=武者陵司氏 | 外国為替 | 外国為替フォーラム | Reuters
http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPTYEA2406720140305?sp=true

を併せて読むと、
軍がこの調子で予算使ってて、成長率落ちてきた時にどうすんだろこれ」
とは思うんだけど、なにも軍備拡張だけじゃなくてあれこれ研究開発にもものすごくお金がかかる。
中国の航空機のエンジンやらミサイルの誘導システムやらはけっこうひどいというか、まだまだなレベルというし、そのへんをなんとかしないことにはいつまで経っても主要部品をロシアとかから買わなきゃならない。

で、成長落ちてきて開発費を抑えられるのか。
抑えられないとしたら、どうするのか。

中国政府には、1000以上の国営企業があり、従業員数は100万人を超える軍需産業の大半を民営化するという野心的な計画がある。

●焦点:拡大する中国の「軍産複合体」、外国依存から脱却へ | Reuters
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE88I04720120919?sp=true

はい、「自前で稼ぎましょう」ということになるんじゃないかと。
「カネが必要なら、イイもの作って売ればいいじゃないか」って党から言われるんじゃないか。

中国は輸出量が2008年までの5年間と比べ3倍余りに増

●兵器の輸出量 中国が4位に浮上 NHKニュース
http://archive.is/ajfeT

2010年には、中国政府が自国の防衛に必要なものの供給を現地化する取り組みに成功したことを反映し、インドが中国を抜いて世界最大の武器輸入国になった。

●中国の後を追って軍拡競争に突入するアジア:JBpress(日本ビジネスプレス)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40365

「ローレベルなものを高品質で安く」作れば、中東・アフリカ・南米あたりに売れる。アジアからの反発も少ない。今の中国はアフリカにたくさんコネがあるわけで、そのあたりからも販路が拡大しやすい。

中国の軍需企業には自国の顧客に対する収益だけでは、高額な開発費を工面出来ないことから外国政府への売却に熱心になっているという事情があるようだ。

●アフリカの武器マーケットを狙う中国、飛躍的なシェア拡大 アフリカビジネスニュース
http://www.africa-news.jp/news_D6IJMvJao_36.html

こういうふうに中国の武器輸出が今後、大幅に増える可能性がある。
とすると、その結果は地域の不安定化につながりかねない。

報告書によれば、スーダンが輸入する小火器、弾薬、ロケット、臼砲等の殆どは中国製

●中東の窓 : スーダン
http://blog.livedoor.jp/abu_mustafa/archives/cat_106689.html

ただ、中国は小型兵器を主な対象にしているようで、仮に同じ輸出金額であったとしても米国が戦闘機一機を売却するのと、中国が突撃銃を30万丁売却するのとでは、住民に対する影響が全く違う、との指摘もあった。統計上、中国は南アフリカ宛に銃を販売していないが、市場には溢れており、強盗や窃盗事件の犯行のほとんどに中国製の拳銃が使われているそうだ。

●La Chinafrique - 『アフリカを食い荒らす中国』: ティミル・ティミル
http://panzal.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/post-e23b.html

アフリカに思い切り足を突っ込む中国

実際のところ、スーダンへはごっそり武器を流し込んだ上に石油権益に深く足を突っ込みすぎて自分たちで紛争解決にまで関わらなければならなくなっている。

中国が外交的に積極的になれば、これまで治安維持で欧米に依存してきたアフリカに、政治的な釣り合いが生まれると歓迎する声も一部にはある

●焦点:中国が「内政不干渉」の原則転換、アフリカ権益保護強化で | Reuters
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0EI07920140607?sp=true

まぁ治安がよくないところには武器の需要があるわけで、その上で武器がごっそり買える国というのは資源国。輸出国としてはそういうところが大きな顧客になる。
するとだいたい販路というか相手国は限られてきて、競争も激しくなる。

競争に勝つために、あれこれほかの話(軍事顧問団とか)も持ってくるというのもある。うちから買えばボーナスで云々。治安の悪い国では軍の発言力も強い。そういった国へ食い込むためには軍にもかなり積極的に取り入らなければならない。

中国は、世銀やIMF、EUなどの欧米ドナーのように「グッド・ガバナンス」や「民主化」「透明化」などを援助供与の条件として要求したりしないので、相手国の指導者にはこぞって歓迎される

●La Chinafrique - 『アフリカを食い荒らす中国』: ティミル・ティミル
http://panzal.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/post-e23b.html

スーダンの例を見ても、ゆくゆくは資源国の安定こそが自国の権益にとって利になるわけで、そこへ持ち込むためには資源国の政府や軍部にはすこし「利口」になってもらわないと困る……はずなんだけど、中国としてはあんまり口出しはしたくない。今までずっとアフリカに「甘い顔」をしてきた中国がこれからどういう「厳しい顔」を見せていくのか……といっても「ビジネスに厳しい顔」なんだろうけど。

しかしなぜ「厳しい顔」をしなければならなかったかというと、そうしないと紛争が拡大して現地でのもろもろ権益が危うくなるからで、逆に言えばそういう危うさがなければべつになんでもOKなんだろう。

このあたりはかつての米国が
「米国寄り(反共路線)であればなんでもOK(ピノチェトとか)」
みたいな政策だったのと似て
中国に好意的な政権ならなんでもOKダルフール虐殺が起きても)」
ということか。なんというかビジネス帝国という感じだ。

しかし中国の「武器を卸し軍部を強くし、インフラ整備で政府中枢とつながる」やり方が地元の職を奪い、民主化を阻み、治安の悪化をもたらすとすると、国民の反発はいずれ大きくなる怖れがある。
また資源国のあれこれを中国が独占するという状況を、あまりよく思わない国も出てくるだろう。

中国としても、資源を融通してくれる「よきビジネス・パートナー」たる政府に長続きしてほしい。だから「内政に口を出さない」のはべつに「内政不干渉」だからではなく、「そのほうがビジネスや外交に便利だから」だろう。

で、「厳しい顔」というのはたとえば
「じゃあキミんとこに武器卸すのもうやめるね。今度から敵対勢力んとこに売るから」
っていう恫喝みたいな「ビジネス」も可能だ。
しかしそういうやり方がどれくらい続くかというと、よくわからない。
「あ、そう。じゃあロシアからもっといい兵器買うわ
って返される可能性もある。

上のほうの引用で戦闘機云々というのがあったけれど、たしかに小火器がばら撒かれれば治安は低下する。警察や軍に小火器がふんだんにあれば、それが略奪や横流しで市中に流れるのを防ぐのはモラルだけ、ということになる。
たとえばある国でA国が独占的に武器を入れ、かつ資源の供給を受けているとすると、B国がそこに割り込むために反政府勢力に資金を流す、ということもある。そういうときに小火器がたくさんある国は火種がたくさんあるということだ。

そういうところで政変が起きかけたとき、そして反政府側がどこか中国ではない国から支援を受けている場合、中国はよりいっそうの肩入れをせざるを得ないだろうし、もしかしたら、そういう場合のためにこそ空母がほしいのでは? とさえ考えてしまう。

あるいはもっと奇妙な、ブラックな事態としては社会主義に近い政策をかかげる──たとえばベネズエラの故チャベス大統領のような──独裁者が政権を奪取して
中国の権益とつながる資源設備を国有化する
と宣言した場合。
中国はどうするんだろう?
なんらかの大義をかかげて、隣国や反政府精力などを支持して武力援助を行うのだろうか?

10年、20年あとのアフリカで中国はどういうポジションにいるんだろう。
中東にも食い込んでいるのだろうか。
もうすこし平和な産業のほうでがんばってほしいものだけど。